いつから飲み始めたか思い出せないほど、気づいたらほぼ毎日飲んでいるコーヒー。
淹れる人の技術や雰囲気も重要なのかもしれないですが、季節やお店の雰囲気、一緒に時間を過ごす人や、状況や景色によっても大きく変化する嗜好性の強い飲み物だと改めて感じています。
デザイン請負業務を始めた10年ほど前から、ミーティングを円滑に進めるための話題作りや、リラックスしてアイデアを話し合える雰囲気づくりのツールとして、美味しいと感じてもらえるようにハンドドリップコーヒーを研究してきました。
誰もが認識のある「丁寧に注げば美味しい」ということではなく、まるで化学実験のように、コーヒーを抽出するための道具選びから始まり、抽出方法の比較、豆の品種のセレクト、計量、湯温管理や使用する水まで徹底的にテストしました。
来客者への特別なおもてなしではなく、自分のできることで印象を感じて欲しかったから少しづつ深みにはまっていったコーヒーを淹れるという行為。
自身のためだけではなく、相手のことを考えるその行為は、業務における一つのプロセスとして重要だと考えはじめ、案件をスタートさせるのにはとても大切な手順だと確信しました。
もちろん仕事場だけではなくて、家族や仲間と過ごす大事な時間もリラックスしたコミュニケーションができるので、状況や相手によって異なるクリエイティブな時間を過ごすことができます。
美味しいと感じるかどうかは主客様々だから確証はないし、答えはないと思います。
生業にしているプロの方々を除いて、美味しさの定義を決めるのは、評判だったり話題性だったり、価格であったり、インテリアの雰囲気であったり、状況や体調の状態でも変化するし、日常的な習慣であるコーヒーを飲む行為と対峙する時間のある方は少ないかもしれないけど、意識してみてほしいです。
評判の良いお店の豆や、手に入りにくい品種の高価な豆であっても、管理の仕方や淹れ方次第で本来の個性(香や味)を失しなってしまうデリケートな一面もあるコーヒー。
まずは自分の生活環境や性格に合ったコーヒーの抽出方法や道具を選んでから、好みの味わいを探求することがコーヒーを愉しむ醍醐味だと思います。
ここ数年、サードウェーブコーヒーから再燃したコーヒーブームですが、書籍やインターネットからも専門的な知識や情報は容易に手に入るので、実践してみると意外と手軽です。
小売店やロースターの店舗情報だけではなく、市場からも垣間見える原産地の情勢や、国ごとに異なる抽出方法の違いや飲み方など、これまでの歴史まで見えてくるはずです。
20年前には缶コーヒーやインスタントコーヒーで満足していた時期もありました。
スターバックスの参入以降、カフェが身近になりブームとなって、現在では多くのカフェで高品質なコーヒーが味わえます。
コンビニエンスストアでも一定の品質のドリップコーヒーがいつでも安価で味わえる時代になりました。
生産性や効率を良くするために時間を短縮することばかり意識している風潮にある現代こそ、出かけた先々で出会うカフェやコーヒースタンドの空間や店主が伝えてくれる「味わい」は、その時々の情景を記憶させてくれるインターフェースであり、有意義な時間を感じさせてくれる嗜好品だと思います。
多くの家庭の暮らしにコーヒーは存在し、コーヒーを抽出するキッチン用品も充実している今の時代に、目紛しい日常のアクセントになる「コーヒーを愉しむ時間」をつくることは有意義であると考えます。
DEARS COFFEE
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